『やはり稽古を思い出す』 故林広志
土田君からバトンを受けとった故林です。
この欄、「ガバメントの稽古はバラバラに行なわれていた」ということだけを書いて終わりそうな気になってきました。
流れというものは恐ろしいものです。そこで敢えて違う話を。
そう、敢えてバトンを落としてみようと思います。
私の台本の書き方をここで説明します。
まず二ヶ月分のAERAを・・やはり企業秘密にしておいた方がいいような気がするのでバトンを拾います。
ガバメントの稽古はバラバラに行なわれていました!
当時稽古をしていた立命館大学以学館は、中央部が吹き抜けの回廊になっており、
例えば三階で稽古をしていると一階や二階で稽古をしている声が聞こえて来たりしたものです
(この回廊では様々な立命関連劇団が稽古をしていました)。
ある日エディと私が、一階で「関西のおばちゃん」のコントを稽古していました。
「こっち来なはれっ!二度洗いやないのっ!」
などと自分の当たり役の台詞をフルボリュームで叫ぶエディ。
するとその間隙を縫うように「あのう・・すみません」と柔らかな声が。
見上げると回廊の一番上(四階)から「時空劇場(当時)」の演出の松田正隆さんが顔を覗かせていました。
「いやあの・・5分だけ静かにしてくれませんか」
ビートルズのLPジャケットよろしく回廊から見下ろし、
そう懇願する松田さんの声は心無しか切羽詰まっていました。
恐らく静かなお芝居の演出中だったのでしょう。
申し訳なかったです。
申し訳ない気持ち一杯でしたが、エディはおばちゃんになりきった顔かたちのまま松田さんを見上げていました。
「いや〜かんにんえ〜」
心でそう呟いていたことと思います。
でかい声を出す役が多かったエディは、この後も近隣の迷惑になり続けました。
そして今回も、彼の「でかいわりに意味の無い台詞」が繰り返し稽古されることでしょう。
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